ロシア映画『ヒトラーと戦った22日間』あらすじ・感想:ナチス収容所からの脱走劇

今回は、ロシア映画『ヒトラーと戦った22日間』をご紹介します。

この映画は、第二次世界大戦中にナチスドイツのソビボル絶滅収容所で実際に起こった事件をベースとした作品です。ナチスドイツからユダヤ人への非人道的な仕打ちが描かれていく、少々ヘビーな内容でした。

でもだからこそ、歴史を知るきっかけとして、多くの人に観てもらいたい作品でもあったので、今回紹介していきます。

絶滅収容所について

絶滅収容所とは

戦時中、ナチスドイツの絶滅政策のために建築された収容所です。主にユダヤ人を強制収容するための施設の中でも、絶滅(殺害)を目的とした収容所が絶滅収容所と呼ばれています

設置された絶滅収容所は全部で6カ所あり、有名なアウシュヴィッツ=ビルケナウのほか、ヘウムノ、ベウジェツ、ルブリン、トレブリンカ、そして今回の映画の舞台となっているソビボルです。

ソビボル絶滅収容所での脱走事件

ソビボル絶滅収容所では、1942年5月から翌1943年の夏までに、ポーランドやオランダ、チェコなどの出身のユダヤ人約25万人が死亡したといわれています。

そんな中、1943年10月に約600人もの収容者が反乱を起こし、その半数ほどが収容所から脱出するという事件が発生したのです。この事件の結果、ソビボル絶滅収容所は閉鎖されることとなりました。

『ヒトラーと戦った22日間』は、この歴史的な脱走事件を題材にしています。

※絶滅収容所やナチスドイツによる蛮行については、否定論を含め、様々な議論がなされています。

映画『ヒトラーと戦った22日間』について

作品の概要

・タイトル:『ヒトラーと戦った22日間』 (原題:Sobibor)
・制作:2018年(ロシア・ドイツ・リトアニア・ポーランド合作)
・監督:コンスタンチン・ハベンスキー
・キャスト:
アレクサンドル・ペチェルスキー/コンスタンチン・ハベンスキー
ソ連の軍人であり、リーダーとして反乱の指揮をとる。皆からはサーシャと呼ばれます。

カール・フレンツェル/クリストファー・ランバード
ナチスドイツ親衛隊の曹長。囚人へ残虐な仕打ちをするという悪名で有名だった。

ハンナ/ミハリーナ・オルシャンスカ
ルカ/フェリス・ヤンケリ  ほか

あらすじ

舞台は1943年、第二次世界大戦中のナチスドイツが建設したソビボル絶滅収容所。日々、ナチスドイツ兵によるユダヤ人への虐待・殺戮が行われていました。

収容されたユダヤ人たちの中に、ひそかに脱出計画が企てるグループがいましたが、リーダーがいないことが問題点でした。そこにユダヤ系のソ連軍兵士 アレクサンドル(通称サーシャ)が収容されてきます。

脱出計画のリーダーに勧誘されたサーシャは、最初は誘いを断ります。しかし、まるで遊びかのような感覚で同胞が次々と殺されていく様子を目の当たりにしたサーシャは、計画に参加することを決意するのです。

サーシャの下には協力者として女性や少年までもが集まり、ナチスの将校を一人ずつ襲っていく作戦を計画しました。

そしてサーシャが収容されてから22日目、ついに作戦が決行されます。

作戦の通りに順番に将校たちを殺害していく反乱軍ですが、途中でフレンツェルに勘付かれて、サイレンを鳴らされてしまいます。しかし時はすでに遅く、収容されていたユダヤ人たちは銃撃戦を繰り広げながらも、一斉に脱走を図るのでした。

脱走の途中で命を落としてしまう人たちがいながらも、サーシャたち多くのユダヤ人が脱走に成功したのです。

※PG12指定の映画ですが、R15+くらいでもいいのではないかと思うようなショッキングなシーンもありますので、苦手な方はご注意ください。

『ヒトラーと戦った22日間』の感想・みどころ

序盤の残酷な描写から、脱出作戦への怒涛の展開

本作では全体を通して、ナチスドイツによるユダヤ人への非人道的な仕打ちという重いテーマが描かれています。

そこへ、観客になんともいえない不安定さを感じさせるカット割りや生々しいほどの人間の心理描写といったロシア映画らしさが加わることによって、残酷なテーマにさらに絶望感を加えてきます。このような雰囲気を作り出せるのは、さすがロシア映画という感じでしょう。

そうした中で、ラスト30分でサーシャたちが希望を目指して、命を懸けて繰り広げる脱出劇は、まさに息を呑むような驚きの連続でした

「ナチスドイツ」を描くことのメッセージ

また、近年「ナチスドイツ」を取り上げる作品が増えてきているように感じています。

世界的に多文化・多民族性を否定するような潮流がまた目立ってきているともいえる現代で、このテーマが取り扱われることはとても大事だと感じます。

過去にどのような歴史があったのかを知ったうえで、どんな未来を作っていくべきなのかを今一度考え直すきっかけになるのではないでしょうか。